(大鳥大社)

(南海電鉄浜寺公園駅の大鳥大社案内板)

旧官弊大社、延喜式内 和泉国 一之宮の大鳥大社は御祭神を日本武尊と大鳥連祖神の二柱とし、
同じく式内社の大鳥北浜(鍬靱)神社・大鳥美波比神社・大鳥井瀬神社・大鳥羽衣浜神社と併せて
大鳥五社明神と呼ばれています。
社伝によると日本武尊が東夷征討の帰途、伊勢で亡くなりました。
その屍は白鳥となって飛び去り、大和国琴引原から河内国古市を経由して、この地に留まったので
社を建立したといわれています。
日本武尊の白鳥伝説は、酉の市で有名な浅草の鷲神社や目黒の大鳥神社、そして大阪羽曳野市など
にもあり、尊に何等かの関連のある所には広く伝われています。
このような各地に存在する日本武尊にまつわる白鳥伝説ですが、
堺市の大鳥大社は大鳥(鷲・大鷲)神社の総本社としての格を持ち千葉県柏市の大鳥神社を始めとして
全国各地の神社に分祠されています。

      
      (熊野街道に面した表参道正面)          (現在の参道の両側の石柵の裏側には旧参道が続きます)
(大鳥大社ご本殿)


大鳥大社は、白鳥伝説が世に広まった天武天皇から元明天皇の頃に創建されたのではないかと云われ
ています。
斉衡2年(855)8月18日に記された「大鳥五社大明神并神鳳寺縁起帳」という資料に慶雲三丙午(706)
「始めて三妃を祭り神宮造営、大鳥五社大明神と名付け奉る」とあり、記録として残るこの頃以前から
存在していた事になります。
神鳳寺というのは、大鳥山勧學院神鳳寺と言い、和銅元年(708)に行基が大鳥大社の神宮寺として創建
されました。
行基大僧正は堺の出身で一生を民間布教と橋をかけたり潅漑事業にかけた名僧で、生涯に建てた寺は
堺の家原寺を始め49寺院もあり、その中でも神鳳寺は家原寺とならび、本堂・不動堂・五重塔・経蔵
・鐘撞堂などを備えた大寺院だったようです。

現在でも大鳥大社の境内は1万5千余坪(14万9,500平方メートル)もある広大な面積ですが、昔の神域
・寺領は現在のものより遙かに大きく神社一帯の丘陵地全体を占めていたのでしょう。
天正年間に兵火で炎上しましたが、慶長7年11月に豊臣秀頼が再興。
その後再び戦乱で荒廃しましたが、寛文2年3月には徳川家綱が石河土佐守利政を奉行として本殿を
造営させて元の姿となりました。
しかし、神鳳寺のほうは慶応4年6月の神仏分離令により本堂・不動堂・五重塔・方丈・経蔵・中門・
廊下・鐘突堂・下蔵・紫部屋や左右廊下はすべて取り壊され、ご本尊は堺市百舌鳥の光明院に移され
ました。
また梵鐘は現在は鳳北町の専光寺にあります。
この神鳳寺の本堂と五重塔跡に現在の大鳥美波比神社を移建したといわれていますが、神社の横には
当時の神鳳寺跡を何となく窺わせるような石囲いの拝所のようなスペースが残っています。

一方の大鳥大社の方は本殿が明治35年に国宝に指定されましたが、明治38年8月に落雷があり焼失
しました。
焼失した本殿は「つま入り」形式の「大鳥造」という独特の造りです。
「つま入り」というのは上から見て、矩形形の本殿の短い方の面に入り口がある形で、「平入り」と
いうのは、長い方の面に入り口がある形です。

〔大鳥造り〕

 神社建築様式の一つ。出雲大社本殿に見られる大社造りの進歩したもので

「切造り」や「つま入り」の点は大社造りと同じですが、入り口が中央に

 付いて内陣と外陣の区別がはっきりしていて、独特でありこの様式を「大鳥造り」といいます。



日本の神社本殿の造りで、もっとも古い建て方をしているのが「平入り」形式では
伊勢神宮、「つま入り」の形式では出雲大社ですが
大鳥大社本殿はこの出雲大社の次に古い建て方の形式をとっており、
その大鳥大社の次に古い形式の建て方をしている神社が大阪の住吉大社です。
つまり、大鳥大社の本殿は「つま入り」形式では一番古い出雲大社形から、その後に変化してゆく
住吉大社形の間の形式で、神社建築様式の貴重な文化財でした。
そのような貴重な文化財だけに雷火で焼失した本殿はすぐに復旧が計られ、明治42年に古式通りに
復元再建されました。

 

          (大鳥大社拝殿前)                      (清盛歌碑)


大鳥大社は古くから文武の神としてあがめられ、武家の信頼が厚く平清盛・重盛父子も平治元年
(1159)に熊野参詣の途中ここに立ち寄り参拝して和歌を詠みました。
清盛の和歌は伝説にしろ歴史書にしろ、これ以外の和歌がなく貴重な一首といえます。
       
       かよいこぞよ帰りはてなば飛びかけり
                   育み立てよ大鳥の神
この一首は明治時代の著名な文人画家 富岡鉄斎 (鉄斎は明治10年に大鳥大社の大宮司になっている)
の筆による石碑として境内にあります。


 
大鳥大社の境内は鬱蒼とした樹木に覆われています。
この大鳥大社の森は伝説によると 白鳳がこの地にとどまり神社を創建したさいに一夜にして種々の
樹木が繁ったと云うことから「千種の森」という別名があります。

  

 (大鳥大社の千種の森)

 

 (東参道)

大鳥大社祭事

元旦祭    1月 1日 大祓祭      6月30日
元始祭    1月 3日  夏祭 神輿宿院お旅所巡幸 7月31日 
成人式    1月第2月曜頃  例祭       8月13日
節分祭    2月 3日 秋分祭      9月23日
紀元祭    2月11日 摂社例祭    10月 6日
祈年祭    2月17日  だんじり    10月 6日頃
火鎮社祭   3月 5日 明治祭     11月 3日
増祀記念祭  3月15日  酉の市神事   11月酉の日
春分祭    3月20日  新嘗祭     11月23日
花摘祭    4月13日 冬季祭     11月28日
憲法記念日  5月 3日 天長祭     12月23日
子供の日   5月 5日   除夜祭     12月31日
菖蒲祭    6月中旬頃 大祓式     12月31日