阪堺電車




 「阪堺電車」。大阪では「チン電」と言った方が通りが良いかもしれません。大阪市・恵美須町から、かつては海水浴客で大いに賑わったという堺市・浜寺を結ぶ阪堺線と、大阪市内の天王寺から住吉公園までを結ぶ上町線の2系統の路線を持つ路面電車です。運転系統は、阪堺線・恵美須町から浜寺公園間、上町線・天王寺から住吉公園、上町線・天王寺から阪堺線・我孫子道の3系統。運転密度の濃い我孫子道から住吉までの間は、平日日中ベースで1時間当たり片道10本、その他の区間では同じく5本の電車が行きかいます。
 車両も昭和3年生まれのおじいさんから平成生まれの若者、中には走行機器はおじいさんで、車体は若者という変り種まで、バラエティに富んでいます。また、ボディカラーもさまざまで、見ていて飽きません。
 一度は厄介者扱いされた路面電車も、環境面、福祉の面から見直されて世界各地で大活躍しています。阪堺電車も例外ではありません。

←恵美須町駅にて発車を待つ浜寺公園行き電車(平成生まれの若者)
 阪堺電車の魅力は、その鈍足ぶりと短い距離でクルクル変わる車窓風景です。阪堺線を例にとると、恵美須町から天神ノ森までは、昔ながらの古い町並みの中の専用軌道。そこから細井川まではスリル満点の車との併用軌道、再び専用軌道に戻って大和川を越えた後、綾ノ町からは大通りのど真ん中の専用軌道を堂々と走り、御陵前からまたまた古い町並みの中の専用軌道を走行。仕上げに大きな跨線橋で南海本線を跨ぎ、小さな終点の駅へ。南海本線ならば20分足らずで走る距離を45分かけて走ります。沿線には歴史的スポット、うまいもん処満載。1日フリー切符も発売されています。

←住吉鳥居前を発車した恵美須町行き電車。右は上町線への分岐。
 言わば大阪庶民の下駄代わりの阪堺電車ですが、乗客の伸び悩みから我孫子道以南、すなわち堺市内の路線の廃止が検討されています。一方堺市は、市内の東西交通網を強化するためLRT構想を立ち上げ、阪堺線との機能連携を視野に入れています。同じ市内で路面電車の廃止が検討され、路面電車の路線新設も検討されているという妙な現象が生じているのです。将来的に阪堺線がどのようになるのか今のところ想像がつきませんが、「チン電」は大阪市民、堺市民の大切な財産です。関係諸機関の方々には善処をお願いしたいところです。

←車との併用軌道を行くチン電。赤信号で車と一緒に停車中。