
【赤楽茶碗】
私はいわゆる「お茶の作法」についてはほとんど無知であるが、「茶碗」にかんしては、昔から「一楽、二萩、三唐津」と言われるように、楽茶碗が一番重宝されているということは知っている。秀吉は派手好みで赤茶碗を好んで使用したが、利休はわびさびを尊び赤茶碗を嫌って黒茶碗を多用したそうである。
お茶の先生のところによばれて、道具をいろいろ見せていただくことがあるが、赤茶碗が出てくることはまずない。先代の楽さんのふた置きが500万するといって手に取らせて貰えるが、赤茶碗は出てこない。
これには理由がある。一つは赤楽茶碗は「素焼き」同様の温度つまり800度前後で焼成するので非常に割れやすい。布巾でふいていてパリンと割れることもある。もちろん畳に落としても割れる。だから、見せてもらえないのである。赤楽茶碗は古いものは数が少ないのは、そのためであるし、現在の楽さん(楽吉左衛門)の赤茶碗だと1000万はくだらないしなかなか作陶してもらえないらしい
一方、黒茶碗は1100度くらいの温度で焼成するため、丈夫である。国宝があるくらいだから古いものもたくさん残っている。また、萩茶碗や唐津の茶碗は1200度以上の高温焼成だから丈夫である。
楽茶椀は、基本的には釉薬が溶けたらすぐに水に入れて冷ますのが本流だ。800度から20度に急冷するのだから割れることが多いし、釉薬がはがれることも多い。私は、楽茶碗は手びねりでつくる。見た目は分厚く、手にすると軽いと感じさせるものを作る。赤楽茶碗は、半乾きのときに、鉄分が多い土をかけて化粧をするが、これもタイミングがずれるとべたっとへたってしまい、努力がむだになることがある。やっぱり赤楽茶碗は貴重品ということだろう。この赤楽茶碗は、筒型である、釉薬に黒い炭素が入っていわゆる「景色」を作っている。